本研究事業におけるコンサルテーションを定義する①

第2回ワンキングチーム会議では、コンサルテーションの在り方について意見交換を行いました。ワーキングチームの委員では、強度行動障害者支援の事業所コンサルテーションのイメージがある程度共有されているためか、第1回検討委員会とは全く違う、より具体的な議論に発展していきました。
一方、オブザーバー参加の専門官から「コンサルテーションやスーパービジョン等について、多くの障害福祉サービス事業所が理解できるような解説が必要」と、冷静な指摘もいただきました。そうです。ワーキングチームの議論のベースになっているコンサルテーションのイメージは、全国の障害福祉サービス事業所でイメージできるコンサルテーションとは違っているようです。
ワーキングチームの多くは、ASDビレッジ出版の『ジャック・ウォール博士の コンサルテーションの極意!:TEACCH学校コンサルテーションのノウハウに学ぶ』の内容に非常に親近感をもっています。そして、残念ながら障害福祉業界では、この出版物が標準のテキストにはなっていません。
少し、理屈っぽくなりますが、コンサルテーションについて少し考察します。

○ 標準的な定義を障害福祉分野に当てはめる

ビジネス書のコンサルテーションの登場人物は、通常、「コンサルタント」と「クライアント」の2者です。もちろん、事例には、各々に身分や責任の大きさや部門の異なる人間が複数登場するのが一般的です。しかし、どんな登場人物もコンサルタントとクライアントのどちらかに分類されます。また「クライアント」のことを「コンサルティ」と呼ぶこともあります。
ところが、教育・医療・福祉分野のコンサルテーションには、登場人物は3者になります。こちらも「コンサルタント」「コンサルティ」「クライアント」とカタカナで表現する場合が多いようです。障害福祉分野をイメージして、この3者を説明すると。

■クライアント:X事業所を利用している障害のあるAさん(複数でもよい)
■コンサルティ:X事業所で支援員として働いているOさん(管理者、サビ管、他の支援員でもよい)
■コンサルタント:X事業所を運営している法人とは別組織からX事業所の問題解決を目的に派遣されているRさん(複数でもよい)

『コンサルタントはコンサルティと連携・相談を行うことで、コンサルティがクライエントへの支援計画や方法の変更・調整を行い、結果的にクライアント&コンサルティの問題が解決されることを目指す』ことを、障害福祉分野ではコンサルテーションと呼びます。

○ なぜコンサルティとクライアントを分けるのか?

ビジネス書のコンサルテーションとは異なり、障害福祉分野では、どうして「クライアント」と「コンサルティ」を分ける必要があったのでしょうか?
学校コンサルテーションのテキストには「児童・生徒や保護者からいの依頼によるコンサルテーション」という難しいフローも解説されています。障害福祉分野では、このフローはあくまでも個別相談の延長ですから、コンサルテーションと呼ぶ必要を感じませんが、学校コンサルテーションは原則同一組織(教育委員会等)の内部解決を目指したテキストが多いようです。このブログの事業所コンサルテーションと、このあたりが大きく違うポイントのようです。
障害福祉分野のコンサルテーション、少なくとも事業所コンサルテーションは、事業所(コンサルティ)の問題解決の依頼を受けてコンサルタントが出向き、コンサルティを中心に相談等を行うものです。ビジネス書と同様、登場人物は2者で良さそうなものです。
あえて「クライアント」という3者目を登場させているのは、『事業所(コンサルティ)の問題解決は、クライアントの権利利益の擁護に資する変化を前提とする』ことを「あえて」強調するためだと推測されます。
たとえば、Aさんの他害行動をマネジメントするために、施錠により個室で生活することで本人ならびに他の利用者等の安全・安心を保証するという対応は、たとえ法律違反でないにしても(個別支援計画記載、代理人承認、日々の記録完備)、目指すべき問題解決ではない、つまりコンサルテーションと呼べるものではないという意味を含んでいるのだと思われます。

●結論①:事業所コンサルテーションは、クライアントの権利利益を犠牲にしてはいけない

当たり前のように思いますが、この違いの重要性に私が気づいたのはつい最近です。真面目にコンサルテーションの本を読まなくてはいけませんね。

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