本研究事業におけるコンサルテーションを定義する②

コンサルテーションは、狭義の役割として「コンサルティ」の問題解決を促進することです。しかし、前回記した通り、障害福祉分野のコンサルテーションでは、「クライアント」の権利利益の擁護に資することのない問題解決は許されません。障害者虐待の問題に造詣の深い人は、ピンときたと思いますが、「権利利益の擁護に資する」とは障害者虐待防止法の目的に書かれているものです。
さて、ここでまた難しい問題にぶつかります。結論①と対立する考え方です。

○ クライアントの権利利益の擁護に資する範囲

観念的ではなく実務的に考えてみましょう。
コンサルタントの相談相手はコンサルティです。クライアントではありません。そして、コンサルティの問題解決の方法として、クライアントの権利利益を「犠牲」にしてはいけません。権利利益の「擁護に資する」とまで明記してしまうと、コンサルテーションが成り立たない場合が続出してしまいます。表現を変えると、コンサルテーションとは、クライアントの生活の質の向上を図ることなのでしょうか?

■事例
地域に障害者支援施設AとBがあります。コンサルタントならびに周囲の障害福祉に関係する多くの人は、施設Aの方が施設Bよりも、明らかに良いサービスを提供していると判断しています。今年から、定員に余裕のあった施設Bに、行動障害が著しい利用者Jが入所しました。施設Bでは、利用者Jの対応に大変苦慮しており、藁にもすがる思いでコンサルテーションの依頼を行いました。
要請されたコンサルタントは、悩みました。Jさんのことを考えると、施設Bを退所して施設Aに移れれば問題解決です。また、施設Aに入所できないにしても、地域生活の新しいあり方について相談支援中心に検討するという方法もあります。この方が明らかに、Jさんの生活の質の向上を実現できそうです。

コンサルタントが要請されるのは、通常施設Bのように、利用者支援(あるいはその他)において多くの課題がある事業所です。「施設Bには、コンサルテーションを依頼する権限がない」と言ってしまうと、コンサルテーションそのものの存在意義も無くなってしまいます。ましてや、コンサルタントは、「利用者Jを早急に施設Bから退所することを目指す」ことでもありません。

つまり、コンサルテーションとは、クライアントの権利利益を犠牲にしない問題解決を図ることになりますが、必ずしもクライアントの権利利益を最大限に高めることが優先的な目標になるわけではありません。では、何を目的とするのでしょうか。

●結論②:事業所コンサルテーションは、コンサルティが標準的な支援を提供することで、問題解決を図ることを目指す

良いコンサルテーションが継続されれば、結果的に、クライアントの権利利益を最大化する(生活の質の向上を図る)ことになるのでしょうが、コンサルタントが最初に手を付ける問題ではありません。もちろん、頭の片隅に、利用者の権利利益を優先すべき選択肢(基幹相談や地方自治体との協議を提案する)を残しておくべきですし、明らかに権利侵害を目にすればコンサルテーションであること以前に社会のルールに従うべきです(例:虐待通報等)。

コンサルタントは、ソーシャルワークの理念に照らし合わせてみると、必ずしもカッコイイ役割ではありません。

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