障害福祉サービス事業所の人材養成と強度行動障害④

○ 日常業務の習得とOJT

強度行動障害者に対する障害福祉サービス事業所で提供する標準的支援とは、その事業所の支援者にとっては、日常業務であり、多くがルーティンで行っているものです。そして、標準的支援を習得するのは、OJTを通してです。

OJTとOff-JTの長短所は、下記の一覧表にまとめてみました。

※ 2020年1月19日に「(寄り道)アンケート結果をどう解釈するか③」で同様の内容を開設しています。
http://kyoudokoudousyougai.seesaa.net/article/473241847.html

日常業務である標準的支援は、OJTが基本であることは間違いないと思います。

○ 新しい日常業務を根付かせるには

既に標準的支援を長年、積極的に活用している事業所では、学校を卒業したばかりの新人職員でも、ワークシステムの内容の変更、1日のスケジュール内容と提示のタイミング、話しことば以外の自発コミュニケーションへの対応、スケジュールや自立課題への注意を促す方法等、数週間のうちに、担当になった自閉症・強度行動障害者への支援方法として一定のレベルで習得できています。ひとりひとりの障害特性の把握やアセスメントの視点について、十分な学びがなくても、習慣として標準的支援を活用しているのです(確かに、非定常場面の対応や、より良いシステムの考案が出来るわけではありませんが)。

本研究事業のテーマは、直接支援を行っている「支援者」の人材養成が、障害福祉サービス事業所の支援の質向上と強度行動障害者の受入れ可能な「事業所」拡大に結びつく方法を探るものです。さらに、狭い目標を掲げると、「現在、標準的支援が日常業務として定着していない事業所に、標準的支援を根付かせる、より効果的かつ効率的な方法を明らかにする」ことです。

「即戦力として早期の習熟が期待できる」「実際の現場の仕事のノウハウが(暗黙知も含め)身につく」OJTが、日常業務である標準的支援を学ぶ基本です。しかし、それができるのは、既に日常業務に標準的支援が組み込まれている事業所だけです。

現在の事業所には無い「新しい知識や支援方法を学べる」のはOff-JTです。標準的支援の初級を体系的に整理した強度行動障害支援者養成研修は、まさに多くの事業所で実施されていない、「新しい知識や支援方法を学べる」機会です。でも、標準的支援は日常業務であり、Off-JTで習得することは困難です。当然のことのように、「研修の内容は実際に事業所では実施できていない」「事業所で成果をあげるには研修内容や時間が不十分である」「研修後のフォローアップ体制が必要である」等の要望が、多くの事業所や研修を実施している都道府県からあがっています。OJTとOff-JTの長短所を比較すれば、自明なことなのですが、こんな考察はされてきませんでした(私もこのブログを書きながら学びました)。

○ OJTとOff-JTの長所をつなぎ合わせる手法≒コンサルテーション

標準的支援とOJT/Off-JTの矛盾を解決する手法としてコンサルテーションが期待されました。

それも、ケース検討会議等で助言・指導を行うコンサルテーションとはスタイルが異なります。

日常業務、それもかなりの割合を占める定型業務を支援の現場に根付かせるコンサルテーションです。

実は、内外でこのような取組みは、ある程度行われて来たです。

本研究事業は、これまでの先行した実践をまとめ、いくつかのコンサルテーションのタイプとして提案し、より多くの事業所や地方自治体が取り組めるような支援策も検討することがゴールになります。

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